設立趣意書

オーケストラ・フィルジッヒは、個々の様々な理由から、恒常的な音楽活動・オーケストラ活動が困難になっている人々へ、再び音楽が出来る場所を提供し、音楽的価値観の交流、またそれらを共有することを目的として2003 年に設立されました。

幼い時、若い時に、楽器や音楽と出合うことによって、その後の人生に豊かな調べを加えることがあると思います。それは人によって、耳を澄まさねば聞こえないほど微かであることもあるでしょうし、その人の主旋律となって鳴り響くこともあるでしょう。かつて胸の内に鳴り響いた音楽を呼び覚ましたいと思いながらも、様々な理由によって、音楽から離れた日々を過ごす人も少なくないと聞きます。進学などでこの街を離れ、また再びこの街に戻ってきた方、就職などでこの街に転入してきた方もいらっしゃることでしょう。このような方々を含め、音楽に対する多様な考え方や価値観との交流を図ることは、音楽活動の輪を広げていくことにおいて欠かせないことです。

そうした交流を重ね、演奏される機会の少ないバロック期、または近現代の作品を演奏会において積極的に取り上げ、より質の高い音楽を追求する中で、楽団員のみならず、聴衆の皆さんにも、音楽の新たな一面を知っていただくことが、福島の音楽文化の向上、ひいては、地域社会の活発化にも繋がるものと期待します。

団体名に冠したフィルジッヒ――桃は、この街の花であると同時に特産品でもあります。その花が、果実が、季節を巡って、美しく咲き、春の野を彩るように、香りが風に乗って届くように、また、豊かに実り、その芳醇な味わいで人を喜ばせるように、当楽団の存在が、音楽を愛する人たち全てにとって、歓迎されるものであることを、強く願うものであります。

オーケストラ・フィルジッヒ